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◎美術同人誌『四月と十月』を主宰し、本シリーズ「四月と十月文庫」の生みの親である画家・牧野伊三夫のはじめての画文集。
◎画家・牧野伊三夫は第2回アトリエヌーボーコンペ日比野賞受賞。画業に傾注する傍ら、北九州市の情報誌『雲のうえ』、飛騨高山の魅力を伝えるフリーペーパー『飛騨』の編集にたずさわるなど幅広く精力的に活躍中である。
◎エッセイは絵画や芸術、画家の旅、日々の暮らしなどを軽妙に温もりのある筆致で描く。素朴で力づよく生命感溢れる絵画、素描作品も豊富に収録。酒と銭湯をこの上なく愛し、少年絵描きの心をもち続ける画家・牧野伊三夫の詩のある画文集。
◎跋文「あの頃のわれらは」 葛西薫(アートディレクター)
■本書より
「おお、小倉の街よ (ある雑誌に郷里について書いた詩)」
おお、小倉の街よ。
石飛、また工場の帰りに角打ちで一杯やっているのか。
丸くなった腹を自慢しているんだろう。
おまえは高校時代は野球部のエースだった。
丸刈りで、授業中は寝てばかりしていたな。
知っている人はいないだろう。
おお、小倉の街よ。
父さんは今日も、ぬか床をまぜているだろう。
サンショと赤唐辛子のきいた、
あの、きゅうりのぬか漬け。
母さんのなすびのみそ汁。
いつだって食べたい。
めしを腹一杯かきこみたい。
おお、小倉の街よ。
順二、教頭就任おめでとう。
いたずら坊主のおまえが、立派になったなぁ。
いたずら教頭なんて呼ばれないように気をつけろ。
『四月と十月』は今年で八年目だよ。
お互い、いくつになっても絵筆だけは手放すまいな。(以下略)
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